まじめなOLの鑑賞レビュー

まじめに色々感想とか書く

あっけなくBTSにハマった悲しいOLの話(ほとんどVについて)

日常の中に、ふと悲しくなる瞬間があると思います。

それはカードの請求があり得ない額なのに明細を見るとすべて身に覚えがあることかもしれないし、何かのアンケートで「18~25歳」ではなく「26~30歳」の欄にチェックを入れるようになったことかもしれない。

オタクをやっていると、好きな漫画が休載してしまうとか、好きなキャラが死ぬとかもそうかもしれないですね。でも私としては、それよりももっと悲しいのが、好きだった作品に飽きてしまった時ではないかと思うのです。

私は飽き性なので、新しい何かを好きになるとものすごい熱量でそれにハマり、燃え尽きると次のものへ……というのを繰り返して生きています。もちろんずっとうっすらと好きなものもありますし、何年か越しに昔ハマった作品に触れるとその時を思い出して再熱したりということもままありますが。

 

今回もそんな感じでした。今年初めにものすごくハマったジャンルがあったんです。ミーハーのソフトおたくなので漫画やアニメなど話題なものはだいたい触れているんですが、その作品は珍しく本当にどっぷりと感情移入して熱中できたんです。で、その熱も1か月2か月経っても冷めないと。これは本当に、一生好きなジャンルに出会ってしまったのではないか?と思ったんですよね(割と毎回思ってはいるけど)。

でも、6月に入ったあたりから、不穏な空気があって。Twitterで同じくその作品を好きな人たちと交流したり考察を見たりしていたんですが、気付いたら一歩引いてそのツイートを見ていたんですよね。「わかるわかるわかる!(前傾姿勢)」だったのが「あー、ね(鼻ホジ)」くらい、もう違うんですよ。アレッ?てなって。

何が言いたいかと言うと、その作品が自分の中でもうホットではないんだと気づいた瞬間がやっぱり一番悲しいということ。その作品や関連している人たちが変わったわけではないのに、どんどん温度差が広がっていくのが悲しくて仕方ないです。自分の興味って本当に思う通りにいかなくて、ままならないですね。

で、その悲しさを埋めるべく新たなジャンルを無意識のうちに探しているんですよね。

飽きてしまったのは漫画作品だったので、次は漫画とかじゃないだろうな~とは何となく思っていて、それで何というか……

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BTS「Butter」のMVを見ていたんですよね。

いきなり?と思われるかもしれませんが、私はもともと東方神起とかTWICEとか好きなんです。虹プロも昨年夏に泣きながら見ました。彼女たちの活動も今はさらう程度に追っています。

でも、正直BTSは自分が好きになる人たちではないと何故か思っていたんですよ。人気が高すぎるというか、どこか作中作みたいな存在というか……(わかります?)

現実にこんなグループがあるわけないじゃないか、みたいな。

結論から言うと、想像していたよりはるかに非現実レベルが高かったんですけどね。

私は5人時代の東方神起をアイドルの頂点に置いて考えているところがあるんですけど、どうもそれが覆ってしまったみたいで、これは本当に大事件なんです。

まず、今年で8年目?9年目?だというではないですか。これが本当にすごいことなんですよね。韓国のアイドル界では。だいたいのグループは7年契約で活動しているんですよ。とりあえず7年間活動して、その節目を迎えると続けるか解散するかになる。でも大抵のグループはほとんど活動を続けていけません。私の好きだった少女時代もmissAも、グループでの活動はしてないです。

そもそも韓国アイドルの寿命って、たぶん10代後半~20代前半なんですよ。なぜかというと、ターゲットが学生なので。25過ぎるともうオワコンみたいな空気はあると思います。最近はどうなんでしょうか、、BTSの影響で寿命伸びてるとかあるんですかね?

だから、8年目のグループが頂点にいる(しかも最年長は28歳)って、かなり奇跡に近いと思います。まぁ、もしかすると韓国で今一番ホットなのは別のグループだったりするのかもしれませんが……

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さて、「Butter」なんですけど。正直、初見ではそんなにハマりそうな感じはしなかったんです。その時はまだメンバーの見分けもついていなくて、記憶に残っていたのはジョングクとRMだけでした。たぶん、ジョングクは最初にソロで歌っていたから、RMは一番個性的な顔立ちをしていたから。

印象に残っていたジョングク(以降グク)について、まずは調べました。すると、どうやら彼がマンネ(一番年下)だと。

なぜかそこで、「まずい、ハマるかもしれない!」と黄色信号に変わった気がします。

え~、そうなんだ、マンネをセンターに……そうか、、みたいな。(なんでだろう)

そのあと、RM(ラップモンスター、ラプモンとも。本名はナムジュン)について調べました。彼はリーダーでした。確かにそんな感じする、と思ったのを覚えています。で、彼が英語でスピーチをする動画を見て、「あかん、これはハマるやつや!」と確信に変わったような気がします。というか私が単純なので、母国語以外の言語を喋る男性が好きなだけなんですけど。

なので、その時点で「推し」はRMでした。

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……で、昨年話題になっていた「Dynamite」のMVも見て、あ、この曲って全編英詩だったんだ……とその時初めて知りました。へ~~、と思って色んなステージの動画を見て行くうちに、、、

気付いたらVを推していました。

落ちたな、と自覚したとき感じたのは美しさへの敗北でした。やはり人間は美しいものを求めるのでしょうか?

V(本名テヒョン、以降テテ)って、表現者が欲しいものすべて持っている人だなと思うんです。ビジュアル然り、スター性然り。

歌もダンスも上手いですが、そっちの才能がめちゃくちゃあってグループ内ピカイチっていうわけではないんですよ。なのに視線を奪われるのは、もちろんその顔が美しすぎるからというのもあると思います。

彼はビジュアルを最大限活用してパフォーマンスしています。素材が良いのはもちろんのこと、それを生かすのが本当に上手いんです。

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このステージなんか顕著だと思いますが、かなり表情を崩すんですよね。1:15あたり、車に乗ってるところとか!この表情を見た時、それ以後もテテに視線を集中させるようになった気がします。およそアイドルがステージでする表情ちゃうやろ、みたいな顔もするんですけど、彼の場合はそれでも様になるから。容貌が優れていると、表現の幅広がるんだ……とすごい現実を目の当たりにしました。(たまに本気の変顔もしてるけど)ビジュアル担当ってこういうことを言うのだろうと思いますよ。ていうか、ブログに動画のリンク貼ってて気づいたけど、彼のサムネ率かなり高いですね。こういうことか…ってなっちゃいますね。

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この、グラミー賞のパフォーマンスとか、本当に素晴らしいです。1:00~あたりの伊達男っぷりは、何かの歴史に名を残すのではないかと思うほど。だって、ものすごい大舞台というか、マジのステージのはずなんですよ。普通そこでこの抜け感出せるかよ~🥺みたいな。

 

で、欧米進出以前のMVもモソモソと見ていたんですけど、「Dynamite」からかなりガラッと雰囲気変わりますよね。ド新規のただのミーハーの主観でしかないので、昔からのファンからするとそんなことはない!と思うかもしれないですけど。

でも、テテの得意とする「抜き」が生かされてるのはやっぱり「Dynamite」からなのではないかと思う……この明るいアメリカンポップ(と言うのか?)の雰囲気が、彼のスタイルとかなりマッチしていますよね。「Butter」もそう。この2曲のステージは、彼から目を離すことができないんです。全員じっくり見たい気持ちはあるのに、いつの間にか視線がテテに滑ってしまう。これが推すということか……と茫然としています。

でもね。彼のこの「抜く」スタイルがグループ作品として通用するのも、BTSだからだなと思います。まず、センターオブセンターのグクの存在は大きいですね。彼のセンターの才能はずば抜けてると思います。中央に据えられるために生まれたみたいな男じゃないですか。天性のアイドルというか、すごい主役感があるというか。「Dynamite」を最初に見た時は、グクって本当に輝いてる人だなと思いましたね。2曲ともトップバッターを任されていることも、制作側の信頼というか、グループ内での立ち位置みたいのがひしひしと伝わりますよね。RMとシュガはグループの軸として確固たるものがあるし、ジミンとホビは経験を積んだ技術があるし、それにジンは本当に面白い男です。

もうね、色々見たんですよ。色々な動画を。インタビューとかも見たし、タリョラも見ました。見ましたとも。楽しくて仕方なさそうなダンス練習も見たし、テテが亡くなったおばあちゃんを思い出してみんなの前で泣きだしてしまってみんなが心配しているのも見たんですよ。だから、全員好きなんです。「Butter」の歌詞にあるように、滑らかに心に侵入してダイナマイトのような火力で爆発するグループだと思います。締めが適当になってしまいました。

私はひとまずBTSが私の中でホットではなくなる瞬間を恐れながら、燃え続けたいと思います。とりあえず、「Dynamite」と「Butter」の解釈を深めようと、ダンサーの方の解説とか、ネイティブスピーカーの方の歌詞の解説とかを見たりして。今旬のものなので、それはもう夥しい数の供給があって毎日とっても楽しいです。エヘヘ

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これ、一押しの練習動画です。テテが飴と帽子という2つの小道具を使って踊っているんですけど、本当に器用な人ですね。あとこの動画のジミンは本当に可愛いです。なんか子役っぽい。

ようやく「日出処の天子」を読んだOLの感想

暑くなってまいりましたね。

コロナ禍の今、皆様どうお過ごしでしょうか……

私はふつうにOLをやっていますが、最近は毎日オリラジあっちゃんのYouTube大学を見ています。オススメはギリシャ神話と3宗教の動画です。なんかあれ、「うろジョジョ」を彷彿とさせる感じがするんですけど、知ってたりするのかな。あっちゃんもジョジョ好きですしね。

 

さて、そのあっちゃんのエクストリーム日本史の動画を拝見している際、「聖徳太子」が出てきたときですね。「そういえば、聖徳太子の漫画がなんかあった気がする…」と思い出したんですよね。動画内では実在したのかわからない謎の人物~くらいにしか説明されておらず、なんかすごい聖徳太子が気になってきた……といういきさつで、”日出処の天子 完全版全7巻”をアマゾンでポチったんです。

すごいですよこの完全版。全巻表紙めくったところにカラーのポスターがついてるし、掲載当時の表紙もカラーで入ってるんですよ。超美しいです。少女漫画家の作画ではこの山岸凉子先生と惣領冬美先生が好きです……

ただ、でかくて厚いので少し読みづらいですけどね。 

なんでもともとこの漫画を知っていたのかというと、著者の山岸凉子先生の「テレプシコーラ」を学生の時に読んでいたからなんです。この漫画は、「バレエの話か……優雅だな」みたいなノリで読むと心をえぐられるので大変おすすめです。

以下、「日出処の天子」の感想です。

美しすぎる聖徳太子

あらすじもそこそこにとにかく主張したいんですけど、この聖徳太子がとにかく美しいんですよ。こんな聖徳太子見たことないもん。私の中で聖徳太子といったら昔のお札の肖像画とか、ギャグマンガ日和の太子とかのイメージしかなかったです。しかしこの山岸凉子先生の描く聖徳太子は絶世の美少年なんですよね。花も恥じらうような……

さきほどから聖徳太子聖徳太子言ってますが、作中では厩戸皇子と呼ばれていますので、ここからは厩戸皇子または皇子で統一します。

物語は、厩戸皇子蘇我毛人の出会いから、皇子が実権を手に入れるまでの話が描かれています。なのですが、正直このころの日本史を少し勉強しなおさないと、内容がわからない部分もあるかなという感じでした。私は上記のあっちゃんの動画でエクストリーム理解しているのでなんとなーくわかりましたけど……蘇我氏物部氏がどうとか、仏教と神道がどうとか、そのへんがわかっているかいないかで理解度がかなり違うかなと思います。

作品の特徴としては、毛人の気をひきたい皇子が色々画策するけどことごとくダメで、権力は手にするけど愛は得られませんでしたっていう流れの心理描写を楽しむものなので、歴史的背景はそこまで気にしなくてもいいのかな?勉強しなおしてから読むとまた別の楽しみ方ができるって感じですかね。

さて、この厩戸皇子には、なんと超能力(もしくは千里眼?)が備わっています。毛人が初めて皇子(とわかっていて)に会った時も、机上の巻物を手を使わずに動かしているところを目撃してしまったんですよね。それで、皇子がサッと憤怒の表情で毛人を振り返るんですけど、少しずつ表情が戻っていくんです。そして「見ましたね」とニッコリ笑うんですけど、その顔が作中で一番怖いので必見です。

皇子は今までも能力を使っているところを見られたことがあるらしく、「忘れなさい」と脳内に直接語りかけるんですけど、毛人はケロリとして、まったく記憶を無くしている素振りがないんです。どうやらこいつには効果がないらしい……というところで、毛人に興味が沸いていくのですね。自分の能力が効かなかったのは、母親の穴穂部間人媛以外にいなかったからです。

そうして毛人を気に入り、共に過ごしていく中で、どんどん特別な存在になっていくんですよね。

 

毛人にイライラ

私だけでしょうか?なんかもう、始終毛人にイライラしっぱなしだったんですけれども。なんでだろう? 布都姫のこと好きすぎるから?その布都姫がフツーすぎるから?髪型がサザエさんみたいだから?それが根底にあるからとは思うんですけど……たぶん、あの厩戸皇子があんなことまでして二人の仲を引き裂こうとしているんだから、もうお前皇子のそばにいてやれよ!って思ってしまうんですかね?

ほんとに、そこまでして?ってなことをして、毛人と布都姫を引き離そうとするんですよ。皇子は、布都姫を天皇の妃にさせるために、貧しい商人(?)のふりをして王宮の台所に潜り込むんです。ボロキレを身に着けて、顔に土をつけてね……そこまでする!?っていう。ふだんはヒラヒラした服を着て髪にはお花を挿してるんですよ!

なぜ台所に?というと、「物部氏に布都姫という美しい姫がいるらしい」という噂をたてたかったんですよね。いや、直接天皇に教えてやればいいじゃんと思うかもしれませんが、それだと色々カドがたつんですよね。布都姫が妃になったところで皇子にメリットはないはずだし、いきなり布都姫の名前出したら不自然ですからね。

たぶん、皇子は毛人に妻ができたりっていうことにはそこまで感情は動かなかったと思います。毛人の気持ちが一人の女に集中することが何よりも許せなかったんですよね。実際、毛人と刀自古の間にできた子供には愛情を注ぐんです。(あの偽りの逢瀬のシーンで、皇子が刀自古を殺さずに逃がしたとき、「あ、これ子供できてるやつ!」とめっちゃ思いました)

そして、毛人が愛情を持って成した子、蘇我入鹿についてはむっちゃ憎んでいたというので、もうこの人ずっと毛人のこと好きだったんですね……布都姫は入鹿を生んでまもなく死んでしまうのですが、彼女への恨みは一生消えなかったんですね~怖いです。ていうか、皇子の分身のような馬屋古女王も入鹿を嫌っていたので、皇子は亡くなっても恨みは残っていたということかもしれないですが……偉人の恨みっていうのは恐ろしいものですからね。

皇子に死ぬほど嫌われていた布都姫ですが、皇子のみならず読者にも嫌われていたようで、読んだ感想のブログや口コミを見ると必ずと言っていいほど「布都姫が嫌いです」「掲載当時から布都姫が嫌いすぎました」とか書いてあるんですよね。どうやら山岸先生も布都姫をあまりにもつまらないキャラにしてしまった自覚はあったようで、当時恋愛をするという感じじゃなかったので、あまり魅力のないキャラクターになってしまったとのことです。(その反動であんな髪型になったのだろうか……)

 

厩戸皇子の求めていたものとは

 皇子は女が嫌いです。なんで嫌いなのかといえば、母親からの愛情が得られなかったからだと思うのですが。特に、女が泣いたり男の性欲を受け入れたりするのを目の当たりにすると、嫌悪感が膨れ上がってしまうみたいです。

皇子が一番求めていたものは母親からの愛だったんですよね。「母親」と「女」は存在として表裏一体のものですよね。女性しか子供は生めないわけですから。自分が求めている母性が女のものであることそのものが皇子にとってストレスだったんじゃないかと思うんです。自分が本当に求めるものって自分で選べなかったりしますしね……

皇子は実家でも一人孤立していましたが、これって母親の穴穂部間人媛が図らずも?そうしてしまったんじゃないでしょうか。あの子は普通じゃないから、恐ろしいからと、自分から遠ざけるにつれ周りの人にもそれって感染しますよね。

一番愛してほしい母親にそういう状況に追い込まれたという事実がまた、皇子の孤独を加速させたんじゃないでしょうか。もう、皇子と母親の関係を考えれば考えるほど、じゃあ毛人お前が受け入れるしかないだろ!って言いたくなります。

 つまり、自分が嫌いな女っていうのは本質的にネチネチしてて、性に奔放で、でもそれを自分が一番求めているのがムカつく!って感じですかね。屈折してますよね。

そんな皇子ですけど、容姿端麗、頭脳明晰、不思議な力も持っていて文字通りの超人ですので周りからも一目置かれているんですけど、毛人のことになると本当にいじらしくて健気なんですから、応援したくなってしまいます。比例して、毛人へのイライラと布都姫ディスはつのっていくというそういう漫画かなって思います。

 

おわりに

ここまで読んでくださった方はいらっしゃるでしょうか。パーッと書いたので、間違っているところもあるかもしれません。

読む前と読んだあとのギャップがあったとすれば、聖徳太子が思ったよりかわいく描かれていたということですかね。めっちゃ頭が良くてしかも超能力が使えるキャラクターだというのだけ知っていたので、あんなに人間らしく描かれているとは思いませんでした。

そして、この漫画は1980年に連載が始まったというのですから驚きですね。40年前ですか……。そもそも「昔」を舞台にしているのもありますが、古臭さが感じられないです。

余談なんですけれども、バナナフィッシュのユエルンって、これ、めっちゃ似てませんか…??厩戸皇子にめっちゃ似てませんか…!?見た目もそうですし、もともと地位はあったけれども、能力が高くて実力でのし上がって権力を得るとか、愛を求めていたのに作中では得られなかったとか、似てるーっ!と、一人で盛り上がっていました。ていうかブログに書こうと思ったのもこれを主張したかったのが大きいです。それが言いたかっただけ、という。

バナナフィッシュはアマプラで公開されているんですけど、きっとこのコロナ禍でたくさんの人が見たんじゃないかなと思うんですよねー。この作品も、今映像化したらけっこう流行るのでは?なんて思うんですけど。歴史ものは今まさに流行ですし、しかも超美貌の聖徳太子なんて、話題になりそうですよね。ノイタミナでやってほしいです、よろしくお願いします。

コメントくださった方ありがとうございます!

映画「リップヴァンウィンクルの花嫁」を1か月前くらいに観たOLのまじめな感想

まじめなOLです。昨日、おとといと暖かい日が続きましたが、今日は少し冷えますね。

節約のため暖房をつけていない部屋では指がかじかんでおります。

 

リップヴァンウィンクルの花嫁」

岩井俊二監督、黒木華主演の作品です。

なんとなく、タイトルの雰囲気と黒木華さん主演というところでほのぼのした作品なのかと推測して観てみたのですが、そういう感じではまったくありませんでした。

展開につぐ展開…というか、一人の女性の人生のうち激動の部分を描いた作品とでも言うのでしょうか。

誰もが普通の人生を歩んでいるように見えて、想像もつかない激動を生きているのかもしれないですよね。

電車で偶然前の席に座ったまったく一般的な女性が、実は今まさに人生の岐路に立っていたり、もしかしたら足を踏み外そうとしているところかもしれない。

なんだかそんなことを考えてしまうような作品でした。

リップヴァンウィンクルの花嫁」あらすじ

 派遣教師とコンビニ店員を掛け持ちして働く七海(黒木華)は、恋愛アプリで出会った男性と結婚する。あまりにも簡単に、「ネットで買い物するみたいに」手に入れた幸せは、義母の策略によってまた簡単に崩されてしまう。

行き場を失った七海は、SNSを通じて出会った「何でも屋」安室(綾野剛)の紹介で、「割の良い仕事」に就く。内容は、「家に住むだけ」。報酬は100万円。

城のような豪邸に住むことになった七海は、そこで真白(Cocco)と再会する。以前、安室の紹介で派遣された結婚式のサクラのバイトで会った自称・女優の彼女だが、女優といってもAV女優だということを知る。

当初、真白も雇われて住んでいると聞いていたが、実はこの城は真白が借りている家で、七海の雇い主は真白であることがわかる。安室にそのことを尋ねると、真白の要求は「友達が欲しい」ということで、七海ならその要求を満たしてくれるだろうと思って選んだ、という答えだった。

真白の経済面を気にして、七海は城を引き払うことを要求する。二人は少し広めのマンションへ引っ越す。不動産屋からの帰り道、ウェディングドレスを購入する。

ドレス姿のままベッドに横になる二人の美しい映像とともに、真白の本当の依頼内容が安室の語りによって明らかになる・・・

 

ざっくりとこんな感じです。なにせ1か月前のことですから、かなり曖昧ですが…

何よりも言いたいのは、全体通して黒木さんの素朴な美しさが炸裂しているということ。本当にきれいな方ですよね…

メイド服もウェディングドレス姿も素敵でした。

リップヴァンウィンクル」とは何か?

リップヴァンウィンクル」というのは、オランダに伝わる伝説をもとにした小説なんだそうです。酒を飲んで眠っている間に、長い年月が経ってしまった男の話で、日本でいうところの浦島太郎のような内容。

欧米では「時代遅れの人」を指す慣用句になるほど浸透しているお話のようです。

この映画で「リップヴァンウィンクル」は、真白のハンドルネームとして使用されているのです。

気が付いたら時が経ってしまった人、という位置づけなのか…?

確かに作中で、彼女の過去が語られるシーンがありますが、目の前のことに没頭しているうちに…ということなのでしょうか。むしろ、「いつの間にか」感があるのは主人公の七海の方なのですが…

気づいたら人生が進んでいた、とはたと気づくことは私にも時折あります。これを何度も繰り返すうちに老いていくんでしょうか・・・

 

 

綾野剛の存在

本作の綾野剛、「安室行舛」というふざけた名前の、ものすごく怪しい男です。

七海も真白も、作中で何かしら「変化」します。

しかし、安室においては最初から最後まで彼の本質というか、得体の知れなさは変化がありません。

悪人というほど悪人ではないし、もちろん善人でもないし…

作中、安室が七海にうそをつくシーンがあります。後でそのうそに気づくと、本当にぞっとします。本当に「何でも屋」なんだな~というか、この人にとっては周りのなにもかもが商売なんだろうな、という。

彼にももちろん罪悪感や情はあるのだと思います。だからこそ最後七海が引っ越すシーンで家具をくれたんだろうなと。しかし、あのことやそのことの代償が家具か…やっぱりこの男おかしい、と最後にはあきれてしまいました。

正直、七海の人生を大きく動かしてしまったのは安室なんですよね。ただ、依頼人がいてのことであるというだけで。七海は彼にとても感謝して終わりますが、すべて知っているこちらとしては、もう…そんな価値のある男じゃないからお礼なんて言うなと思ってしまいました。

もちろん、彼のおかげで真白に出会えたし、今までにない経験もたくさんできたのだろうと思います。 

 

 さいごに

この作品を見たのは1か月ほど前のことになります。

映画なんかの感想というのは、見た直後に書いた方が新鮮な気持ちで書けるのでは?と思うんですけれども。

これを見終わったとき、漠然と「見る前のイメージと違う作品だったな」ということくらいしか考えていませんでした。しかし、この1か月間、ふとした折にこの作品のことを考える時間というのが出現するんですよね。

というのも、「あのシーンが印象的だった」とか「あの人の演技が良かった」というよりは、今の自分と主人公が極めて近い存在なのではないかと思ったからなのではないかと思います。

平凡な人生を歩んできたはずなのに、何かの拍子でつまずいてしまうことってありますよね。経済的に、精神的に、人によってそれを「つまずいた」と思うかも様々だと思います。

なんとなく、自分が今その瀬戸際にいるんじゃないかと思う時があって、そういうときにこの作品が頭をよぎります。そして、けっきょく、何があってもたぶん人って一人でも立って生きていけるんだろうなと思うんです。

この主人公はそんなに「強い人間」ではないと思います。極めて普通の人ですよね。漫画とかに出てくる「普通の女の子」ってだいたい普通じゃないことが多いんですけど、七海は本当に普通。そういう人が、器用に物事を運んだり、つまずいたり、だまされたり、それでも一人で起き上がるっていうのを淡々と描いてるんです。

七海には最後「安定」が訪れるわけで、その様を思い出すとなんだか安心するんです。

 「あ、私はこのまま地道に生きていこう」みたいな…うまく言えないけど。

「キングダム」アニメを見た後原作を読んだOLのまじめな感想

 「話題のもの」ってやっぱり良いものだなと思わせてくれた作品です。

私が「キングダム」の存在を知ったのは、実写映画が発表されてからのこと。

なんとなく「コンビニで売っているのを見たな」とかそんなものでした。

実写映画がなかなか評価されていて、少し気になってはいたのですが、予備知識のないまま裸一貫で行くのもどうか…楽しめるのか?と不安に。

あ、まだ見てない方に言っておくと、何も知らなくても楽しめるので見てください。

そんな折、私の愛するHuluで、NHKで放送されていたアニメが見られると判明し、とりあえず視聴してみることに。

お、面白い……。

というのが、率直な感想でした。特に第一話の掴みは素晴らしい。

あんなところで終わられて、続きが見たくならない人がいるのでしょうか?

こちらのアニメ、序盤や戦闘シーンはCGアニメーションで作成されています。

ニコニコ動画で人気のMMDバーチャルYouTuberみたいな感じのやつです。

確かに最初は え?これでずっとやってくの?と思ってしまうのですが、すぐに慣れます。私は慣れました。

(むしろ、2期序盤の作画が苦手すぎて、CGに戻してくれ!と思ったほどです)

どうやら、原作ファンの方でもこのアニメーションを嫌厭して見てませんという人が少なくないらしい。もったいないです…

よく見る文言ではありますが、とにかく1話だけでも見てください。

で、アニメを見ていたく感動した私はやっと実写映画を見ました。

2回見ました。感想はのちほど。

映画を見た後、どうしようもなくなって、原作を読みました。

しがないOLの貴重な2019年5月はほとんど「キングダム」に染められてしまいました。

OLの魂は1か月のほとんどが春秋戦国時代に飛ばされていたということです。

(「バナナフィッシュ」も読んだので、若干ニューヨークにも行ってましたが)

ここからは、個人的「キングダムの良いところ」「キングダムの気になること」

に分けて書いていきます。

※最新巻までのネタバレ含みます

「良いところ」①時代設定

「キングダム」は、「春秋戦国時代」の終わりごろを舞台としています。

春秋戦国時代」とは、紀元前770年~紀元前221年らしいです。

「キングダム」は、紀元前245年からスタートします。

(1巻の最初。作中にそれより昔のことも出てきます)

というと、今から約2300年くらい前のことですね。

もう、すんごい昔。

そのころ日本は弥生時代邪馬台国はもっと後の話で、その邪馬台国さえどこにあったのか解明されていませんから、「中国史ってすっげ~~」と思いますね。

正直中国史ってまったく知らないんですよね。

人気の高い「三国志」とかもぜんっぜん知らない。

ていうか、日本の戦国時代の武将すらあんまり知らないし。

古代中国の話なんて、「ムーラン」くらいしか見たことありません。

ちなみに「三国時代」は180年~280年くらいとのこと。

「キングダム」は、「三国志」より前の時代のことなんですね。

とっても昔、ということもあって、実はあまり史実に残っていない武将も多いのです。

つまり、曖昧な部分はカスタマイズ可能ということ。

主人公・信や、読者にも登場人物たちにも大人気の王騎将軍も、かなり作者の作りこみ要素が高いです。(らしいです)

というか、大筋は史実通りだけど、ぶっちゃけ細かい部分はけっこう違うみたいです。

確かに、主要な人たちのウィキペディアはおおむね眺めましたが、重要人物である李牧に関しては、彼がやっていないことまで彼の行いとして出てきたりします。

そもそも登場が早すぎるのだとか。これはたぶん、李牧自体が原先生にとって特別な存在であること、李牧を強敵にしたかったことがありますね。

李牧は「キングダム」より前に描いていた読み切りの主人公らしいです。そりゃ思い入れもあるし作りこみにも頷けますね。

そして、物語上の「強敵」として、今までは呂不韋がそれに当てはまる存在でしたが、「加冠の儀」を終えたあと、事実上政の勝利となり呂不韋は失脚します。

そして、国内での不安要素がほぼなくなりやっとこさひかえていた李牧という敵に立ち向かうということになります。

まぁ大好きな王騎将軍を巧みな軍略で討ったこともあり、前々から信にとっては「ブッ倒す」相手ではあったのですが…とにかく国内の敵をどうにかせんことには国外の敵に専念できませんからね。

だいぶ話それましたが、「キングダム」は「春秋戦国時代」の終末までを描くことになるかと思います。「春秋戦国時代」の終わりとはつまり、秦国が中国を統一するまでのこと。始皇帝の誕生とともに時代は変わります。

で、いったいどこまでを描くの?というのは後ほど。

「良いところ」②信と政の関係性

ここ、個人的最もアツい部分です。

主人公・信と政は、ざっくり言うと「信頼」で結ばれています。

政が弱っていたときに、信が助けてくれたからです。

「信じる」の語源はこいつか?というくらい、秦王・嬴政は信を信じています。

二人は共に闘った経験を経て友人となりましたが、びっくりするほど身分が違います。王様と下僕ですからね。

政の弟の反乱により王都を追われたあと、信とその友人の漂や、山の民などの力を借りて、反乱軍を沈め、王都を奪還します。

ここでの信と政の相互関係は少し複雑です。信は、政とそっくりの幼馴染がおり、二人一緒の夢を持って下僕の日々を送っていました。何にも代えがたい唯一無二の存在です。「王と同じ顔をしている」ことで、漂は夢に近づいたかに見えましたが、同じ理由で命を落とします。

つまり、この時点で信にとっては政は「親友の命を奪ったヤツ」なのです。

からしてみればあまりに単細胞な思考だと思ったかもしれませんが、まぁ気持ちは理解できるなといったところでしょうか。相手は国の情勢も何も知らない下僕です。そして詳しいことを説明している時間も余裕もありませんでした。

とにかく目の前の敵を倒し、共闘するうちに、信の気持ちにも整理がついていきます。

そして、お互いの夢を知ります。二人の目指すところは、周囲から見ればあまりにありえない、無謀なことです。ですが、二人はお互いの夢を否定しません。そこが大きいと思います。夢を持って進む対等な友人になるのです。

とはいえ、周りから見りゃまったく対等ではございません。

そしてここが信のすごいところなんですけど、「王様と友達」というのを周囲に吹聴しません。(王様と一緒に闘ったことは飛信隊に話していたようですが)

王様と個人的な付き合いがあるなんて、とんでもないことです。というか、王様の顔を知ってる人すら限られた要人のみなのに。時代まったく違いますが、映画「ラスト・エンペラー」では平民は王様の顔を見てはいけないんだ、というシーンがありました。

なので、私はいったいいつあの「お、お前王様と知り合いだったの~~!?」が来るのか?とワクワクしておりました。しかし原先生さすがです。これ、なんと31巻の「空いた玉座」までお預けです。個人的胸アツシーンは後ほど…

信と政は、たまにしか会えません。政は王宮におり、信は戦場にいるからです。戦と戦の間に、ちょこっと会って話す機会があるかないかというところです。しかし、会うたびに信は成長し出世して、飛信隊も大きくなり、政は着々と王宮での立場を塗り替えています。お互い見えないところで戦っています。

しかし、二人がふたたび同じ場所で戦う機会がやってきます。それが31巻で出てきます、アツいです、必見です、よろしくお願いいたします。

当然ですが、二人とも年齢的にも成長しています。

戦争孤児の信の年齢は正確にはわかりませんが、同い年くらいと考えていいと思います。

二人が出会った当時、政が14歳。で、7巻でどうやら政はすでに伽の相手を呼んでいるらしいことが判明。1巻から7巻において時間はそれほど経っていませんから、14か15で女の子と一緒に寝ていることになります。なんとまぁ。しかもお相手の向ちゃんは12歳ということですから、現代の感性でいうとまだ子供同士です。

実際この時点ではまだ何もしていないと思いますが、信が戦場でワーワーやって野原でゴロ寝している間に、政は子作りをしているのですね。当然のことですけど。

そんなこんなで生まれた向ちゃんとの子供(女の子)を、信が抱き上げるシーンがありますが、なんというか、親戚のような気持ちで見てしまいますね。二人とも、大きくなって…

政にとって向ちゃんは特別な思い入れのある宮女です。命をかけて自分を守ろうとしたのですから。もともと気に入りではあったようですが、そんな向ちゃんを信が「地味宮女」と小ばかにしているのもまたかわいいですね。

また、政に子供ができたと蒙恬から聞いたときも、なんとも言えない気持ちになったみたいで、そう、その反応が私は欲しかったんです、ありがとうございました。

あらゆる局面で、信は政を誇らしく思い、逆もまたしかりなんですよね。

私はけっこう、戦が済んだあと二人で話す場面が好きです。

「良いところ」③部隊長3人組の関係性

飛信隊の信、楽華隊の蒙恬、玉鳳隊の王賁です。

なんつうか、この3人が寄るとめっちゃかわいいんですよね。

しかし、蒙恬と王賁が出てきたときは、女性受け狙いのキャラが来たわね…ちゃらちゃらしやがって、ほだされるものか、こっちは戦をしてるんだぜ…と思ったものです。

ほだされましたね。

ありがとうございます。ていうか全キャラ通して王賁が一番好きなんですよね。

私と同じく王賁推しの方は、最新巻まで読むことを強くオススメします。

これは楽華にも玉鳳にも共通することなんですけど、

若く才能ある美形をおっさんたちがもてはやす図って、なんか良いですよね。

二人とも「じい」がついてるし、いかにも坊ちゃんぽくて良いです。

あと、王賁は槍の技を繰り出すとき、ちゃんと技名を言っててかわいいです。

この三人は同じ目標を持つライバルでもあるのですが、たぶんラスボスはこの三人で倒すのかなーというとこですかね。

みんな300人隊のとき出会った(蒙恬は実は千人将だったけど)ので、成長を見るのが楽しいですね。

46巻497話「集結の本意」にて、この3人と政が一堂に会するシーンがあります。このシーンめっちゃ好きなんですが、政が出てきた瞬間、蒙恬と王賁はギョッと目を見開いて、膝をつくんですよね(当たり前のことです)。

二人に対して「跪かなくていい、立って顔を見て聞いてほしい」と政は言うのですが、二人とも「…マジで?」みたいな顔して汗タラー。

「やっぱ、王様と友達ってとんでもねーことだな」と再確認できる貴重なシーンです。

特に、蒙恬と王賁は今信と同じ地位にいますから、いかに信が異端かわかります。

二人が初めて間近で政を見てどう思ったかはまだわかりませんが、少なくとも王賁は政の目標を「獣の考え」と貶した趙国の馬南慈に対して、「秦王の刃として貴様をここに沈めてやる」と発言しました。多かれ少なかれ、二人の国に対する忠誠心に影響したのではないか?と思います。

今まで、「将軍のために」「隊長のために」というのは敵味方含め幾度となくありましたが、戦の場で王について触れることってあんまりなかった気がするので、印象的でした。

「良いところ」④後の始皇帝・政のカリスマ

丞相(当時)の呂不韋が登場した時、呂不韋だけでなく彼を囲む四柱の面々も、ものすごく大きく描かれていました。これは、「偉人」が放つ威圧感を表現していて、このとき信は腕力・暴力以外の力を目の当たりにしたんですよね。と同時に、これから政が正面から闘わなければならない相手がどんなものなのかも理解したのです(少しだけ)。

このとき読者も、「こんな相手と対等に戦う力があるのか?」と疑問を持ちますが、政はすでに山の民説得の時、そして反乱軍制圧の時、腕力・暴力ではない力で人を惹きつけています。

そしてそれから先も政の力はいかんなく発揮されていきます。

同時にそれは「キングダム」屈指の名シーンでもあると勝手に思っております。

特に、先述の31巻330話「政、語りかける」、38巻412話「加冠の儀」は特に感動します。

「政、語りかける」では合従軍に攻め込まれた秦最後の砦、蕞の城の住民たちの戦意を高めるべく、民の前に姿を見せ直接語り掛けます。

結果的にこれは大成功を呼び、蕞の民の心をわしづかみにし、一般市民が兵になります。李牧には、市民が戦わされていることはばれていましたが、なぜここまで戦意を高められたのか、見当がつきませんでした。たとえここに王騎がいたとしても、民を死ぬ気で戦わせることは不可能である、そう思ったのでした。

ここで2年前に秦趙同盟を結んだとき、政の「愚者を演じた」策が生きてくるのですから鳥肌ものですね。もしあのときばりばりに威圧していたら、「王が民を奮い立たせた」とすぐにばれ、また別の策を李牧は講じていたでしょうね。

また、11巻111話「任命」にて、王騎に「王位に即かれて三年になりますが この三年間王をつとめられた感想をお聞かせ頂けませんか?」という問いに対して、「特に何もない 王らしいことは何ひとつできていないからな」と答えました。きっと、政にとっての「王らしいこと」とはこのようなことなのでしょうね。

「加冠の儀」でも、姿を見せただけで、たくさんのじじいを泣かせています。昌文君や壁、肆氏も泣いています。肆氏に関しては最初は弟側の人間で政敵だったのに、蕞の時も「さっすが大王様!!」と前の主である成蟜にわき目も振らず言っちゃってますから、共に過ごすうち完全に感化されてしまったのでしょう、なんかかわいいわね。

それに、李牧も「本当ならあなたのような王にお仕えしたかった」と言っちゃってます。はったりかとも思わせる場面ではありますが、本心でしょうね。

李牧の仕える趙国の悼襄王は政と比べるべくもないような王様です。ショタコンなのか、幼い男の子たちと入る風呂を「楽園」と呼び、自分が死んだあとのことなどどうでもいいと言い切ります。ですから、政の「自分が死んだあとの中華七国の平和の保証がない」ことを理由にこれから起きる戦乱は避けようがない、絶対に中華を統一する!という切り替えしには胸を打たれたことと思います。次の王に期待するしかない趙の現状と比べ、「王が王として生きている」秦国を羨んだかもしれません。

「気になること」①伏線もろもろ

さて、「キングダム」は現在54巻まで刊行していますが、原先生いわくまだ折り返し地点とのことです。80~100巻くらいまでやると思います、とのことです。ということは、まだまだ残ってる伏線もきっと回収してくれますよね…?
気になる伏線を箇条書きで挙げていきます。

・1巻冒頭の「李信」について

冒頭の李信将軍って、きっと信のことで間違いないですよね。しかし信は下僕の身ですから、苗字がありません。
現時点でまだ出てきてもいません。自分で名乗るのか、誰かに譲り受けるのか?それとも親が判明するのか?
現時点で出ている李の付く人といえば李牧ですが、さすがに関係ないよね…

・河了貂の出自

河了貂はどうやら山の民「梟鳴族」の生き残りで、楊端和他山民族は、何か知るところがあるような感じでした。
また、アニメでは出てこなかったじいちゃんとの回想もかなり初期に出てきましたがそれきりです。
あと個人的に蒙毅とはどうなんだ…信を好きっぽいけど、望み薄だぞ…と思っている。
昌平君の臣下のツインテールのおっさんが「蒙毅には気をつけろ」と本人たちの前で言ってましたが、ほんとそれ~って感じでした。蒙毅!ぼさっとしてると兄ちゃんに抜かれそうになってるぞ!見とれてたぞ!

・昭王の遺言

出陣前の王騎が政に伝えた、昭王の遺言は、後半の一部分しか明らかになっていませんでした。
前半に何か伝えたあと、「最後に」と、明かされている部分の遺言を言っていました。
それに、二人が話すのを外で待っている信が「遅ぇな」とぼやいていたので、あれだけだと信はどんだけせっかちなんだと思っちゃいます。せっかちだけどさ。
これが物語に深くかかわるかはわかりませんが、どちらにせよ気になります。

・桓騎の過去

キングダム史上もっとも私をドン引きさせたワースト1位桓騎。本当に引いた。あんなに…あんなこと…そんな…
黒羊の戦いでは、離眼の城に戻り子供たちを抱きしめる紀彗の姿を見て、「こっちが敵なの?」と涙が止まりませんでした。
そりゃ攻められる側からすれば攻める側は悪に違いないけれど、それにしてもあくどいにもほどがあるよ…
そんな桓騎ですが、どうやら過去に何かあったようで、詳しいことは仲間もよく知らないとのこと。
蒙恬の祖父蒙豪にのみ敬意をはらっていたみたいなので、そことからめてエピソードがあるのでしょうかね。

「気になること」②ラスボスは?どこまで描くの?

史実の通りに行けば、加冠の儀の際大王側に寝返ったはずの昌平君が、秦を裏切り楚に亡命。楚国の王となり秦とドンパチする。これかなりヤバイ展開ですよね。まさにどんでん返し。徹夜で一緒に軍略考えたのに。うーん、昌平君と李牧のすり替えもあり得るか…?と思っています。原先生の李牧への入れ込みを見るにつけ。昌平君と李牧がタッグを組むこともあり得ますね。
また桓騎も燕へ亡命(別名の、燕の武将と同一人物なのではないかという憶測がある)し秦と敵対。桓騎については信とは価値観がまったく合わず、一度本気でやりあいそうになっていました。このけりは、クライマックスかはわかりませんがいずれつけるものかと思います。
趙国が滅んでも李牧が死ぬかはわかりませんし、李牧ラスボス説も否定できませんね。悼襄王はこの鄴の戦いの年に亡くなるそうなので、その辺もどうかかわってくるかですね。
流れでいけば斉を最後に制圧するわけですが、現時点でここは説得が済んでいるわけです。
ただし、斉王・王建は「秦王の目の色が今と変わって汚く濁っていたならば、斉も死力を尽くして国を守る」などとちょっぴり不吉なことを言っています。なんか怖いです。
また、原先生いわく中華統一後のことも描くらしいとのことです。
教科書や資料にある始皇帝は暴君です。戦に負けた将軍は親族まで殺すなど、「キングダム」の政とはまったく別人のようです。晩年は死を恐れるあまり、まじないに傾倒したり莫大な費用をかけて墓を作らせたりします。また、秘薬として水銀を飲むようになり水銀の川なんてのも作ったみたいで、それが原因で短命だったのではないかというもっぱらのうわさです。死を恐れる暴君がどうなるかはハリー・ポッターシリーズでも見ていただければと思います。そんな政見たくないです!!
ただ、「キングダム」の政は闇落ちしていませんし、愛を知っていますから、史実とは異なる終末を迎えることも十分に考えられますね。そうなってくれ。
また、いるはずなのに未だ出てこない、政の長子である扶蘇。このへんは始皇帝の死後のことにかかわってきますよね。
太后の側近だった宦官の趙高の策略で始皇帝の遺言が書き換えられ、扶蘇蒙恬が自殺させられてしまうのです。
蒙恬が自殺させられるとか嫌すぎます、、、ここまでは描かれないだろうとは思いますが。

「気になること」③実写映画について

これって続編あるんですか??あるとしたら次はどこからどこまで…?
現実的に考えて、王騎が亡くなるまででしょうか?せっかくの大沢たかおだし…
でも、吉沢亮の加冠の儀とか、語り掛けるのとか見たい…
ていうか現時点で原作設定の年齢と俳優の年齢にかなり開きがありますよね。
すべて映像化していたらいよいよ俳優が育ちすぎてしまいます。私も年をとります。
まぁでも次があるのなら主演二人の演技力の成長も期待しておきます。
しかし、羌瘣・蒙恬・王賁のキャスティングなど前途多難ですよね……
お、王賁をやってほしいと思える俳優がいるだろうか……怖い!

さいごに

 

ここまで読んでくださった方がいるかはわかりませんが、何もかも書こうとしたらとんでもない長さになりました。
キングダムについては、また気になることがあったらちょこちょこ書くかもしれません。

そして、ぴえろさん、早く3期お願いします。