まじめなOLの鑑賞レビュー

まじめに色々感想とか書く

映画「リップヴァンウィンクルの花嫁」を1か月前くらいに観たOLのまじめな感想

まじめなOLです。昨日、おとといと暖かい日が続きましたが、今日は少し冷えますね。

節約のため暖房をつけていない部屋では指がかじかんでおります。

 

リップヴァンウィンクルの花嫁」

岩井俊二監督、黒木華主演の作品です。

なんとなく、タイトルの雰囲気と黒木華さん主演というところでほのぼのした作品なのかと推測して観てみたのですが、そういう感じではまったくありませんでした。

展開につぐ展開…というか、一人の女性の人生のうち激動の部分を描いた作品とでも言うのでしょうか。

誰もが普通の人生を歩んでいるように見えて、想像もつかない激動を生きているのかもしれないですよね。

電車で偶然前の席に座ったまったく一般的な女性が、実は今まさに人生の岐路に立っていたり、もしかしたら足を踏み外そうとしているところかもしれない。

なんだかそんなことを考えてしまうような作品でした。

リップヴァンウィンクルの花嫁」あらすじ

 派遣教師とコンビニ店員を掛け持ちして働く七海(黒木華)は、恋愛アプリで出会った男性と結婚する。あまりにも簡単に、「ネットで買い物するみたいに」手に入れた幸せは、義母の策略によってまた簡単に崩されてしまう。

行き場を失った七海は、SNSを通じて出会った「何でも屋」安室(綾野剛)の紹介で、「割の良い仕事」に就く。内容は、「家に住むだけ」。報酬は100万円。

城のような豪邸に住むことになった七海は、そこで真白(Cocco)と再会する。以前、安室の紹介で派遣された結婚式のサクラのバイトで会った自称・女優の彼女だが、女優といってもAV女優だということを知る。

当初、真白も雇われて住んでいると聞いていたが、実はこの城は真白が借りている家で、七海の雇い主は真白であることがわかる。安室にそのことを尋ねると、真白の要求は「友達が欲しい」ということで、七海ならその要求を満たしてくれるだろうと思って選んだ、という答えだった。

真白の経済面を気にして、七海は城を引き払うことを要求する。二人は少し広めのマンションへ引っ越す。不動産屋からの帰り道、ウェディングドレスを購入する。

ドレス姿のままベッドに横になる二人の美しい映像とともに、真白の本当の依頼内容が安室の語りによって明らかになる・・・

 

ざっくりとこんな感じです。なにせ1か月前のことですから、かなり曖昧ですが…

何よりも言いたいのは、全体通して黒木さんの素朴な美しさが炸裂しているということ。本当にきれいな方ですよね…

メイド服もウェディングドレス姿も素敵でした。

リップヴァンウィンクル」とは何か?

リップヴァンウィンクル」というのは、オランダに伝わる伝説をもとにした小説なんだそうです。酒を飲んで眠っている間に、長い年月が経ってしまった男の話で、日本でいうところの浦島太郎のような内容。

欧米では「時代遅れの人」を指す慣用句になるほど浸透しているお話のようです。

この映画で「リップヴァンウィンクル」は、真白のハンドルネームとして使用されているのです。

気が付いたら時が経ってしまった人、という位置づけなのか…?

確かに作中で、彼女の過去が語られるシーンがありますが、目の前のことに没頭しているうちに…ということなのでしょうか。むしろ、「いつの間にか」感があるのは主人公の七海の方なのですが…

気づいたら人生が進んでいた、とはたと気づくことは私にも時折あります。これを何度も繰り返すうちに老いていくんでしょうか・・・

 

 

綾野剛の存在

本作の綾野剛、「安室行舛」というふざけた名前の、ものすごく怪しい男です。

七海も真白も、作中で何かしら「変化」します。

しかし、安室においては最初から最後まで彼の本質というか、得体の知れなさは変化がありません。

悪人というほど悪人ではないし、もちろん善人でもないし…

作中、安室が七海にうそをつくシーンがあります。後でそのうそに気づくと、本当にぞっとします。本当に「何でも屋」なんだな~というか、この人にとっては周りのなにもかもが商売なんだろうな、という。

彼にももちろん罪悪感や情はあるのだと思います。だからこそ最後七海が引っ越すシーンで家具をくれたんだろうなと。しかし、あのことやそのことの代償が家具か…やっぱりこの男おかしい、と最後にはあきれてしまいました。

正直、七海の人生を大きく動かしてしまったのは安室なんですよね。ただ、依頼人がいてのことであるというだけで。七海は彼にとても感謝して終わりますが、すべて知っているこちらとしては、もう…そんな価値のある男じゃないからお礼なんて言うなと思ってしまいました。

もちろん、彼のおかげで真白に出会えたし、今までにない経験もたくさんできたのだろうと思います。 

 

 さいごに

この作品を見たのは1か月ほど前のことになります。

映画なんかの感想というのは、見た直後に書いた方が新鮮な気持ちで書けるのでは?と思うんですけれども。

これを見終わったとき、漠然と「見る前のイメージと違う作品だったな」ということくらいしか考えていませんでした。しかし、この1か月間、ふとした折にこの作品のことを考える時間というのが出現するんですよね。

というのも、「あのシーンが印象的だった」とか「あの人の演技が良かった」というよりは、今の自分と主人公が極めて近い存在なのではないかと思ったからなのではないかと思います。

平凡な人生を歩んできたはずなのに、何かの拍子でつまずいてしまうことってありますよね。経済的に、精神的に、人によってそれを「つまずいた」と思うかも様々だと思います。

なんとなく、自分が今その瀬戸際にいるんじゃないかと思う時があって、そういうときにこの作品が頭をよぎります。そして、けっきょく、何があってもたぶん人って一人でも立って生きていけるんだろうなと思うんです。

この主人公はそんなに「強い人間」ではないと思います。極めて普通の人ですよね。漫画とかに出てくる「普通の女の子」ってだいたい普通じゃないことが多いんですけど、七海は本当に普通。そういう人が、器用に物事を運んだり、つまずいたり、だまされたり、それでも一人で起き上がるっていうのを淡々と描いてるんです。

七海には最後「安定」が訪れるわけで、その様を思い出すとなんだか安心するんです。

 「あ、私はこのまま地道に生きていこう」みたいな…うまく言えないけど。